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「またね…帽子屋さん」
ドアが軋み、閉まるや否やブレイクは洗面所へと駆け込んだ。
早速、ザーザーと流れ続ける水音が空になった部屋に響く。
「っう……ぇ、ゲホゲホッ…あ゛んの…ゲホッ…溝鼠め…!」
その水源である洗面所からは不機嫌そうな呻き声が漏れていた。

数十分前。
「こんばんは…帽子屋さん」
「…………は?」
ベッドに寝転んでいたブレイクは、突然の天敵の登場に無表情で固まる。
「ひどいなぁ…レインズワース家の使用人の内では…それがお客様に対する反応なの…?」
「…お客様?ナイトレイ家では勝手に他人の部屋に入ってくる不審者のことをお客様というんですカ?」
「ウフフ…本当は嬉しいくせに」
「は?って、こっちに来ないで下サイ!」
ブレイクの言葉を無視してヴィンセントがベッドに片手をつく。
スプリングがギシッと小さく軋んだ。
「帽子屋さん…遊ぼうよ…」
「お断りしマス、ていうかなんでいつも勝手に入ってくるんですカ!」
「帽子屋さん、僕ね…今日はお土産、持ってきたんだよ」
先程から相手の反応は一切無視したまま、そう言って内ポケットから飴玉を取り出すと見せつけるようにペロリと口に入れた。
「この飴ね、すっごく美味しいんだ…帽子屋さんにもあげる」
「……結構デス…ッ!」
抵抗も虚しくあっという間に唇に噛み付かれた。
「んんっ……んぅッ…!」
甘い塊が口の中に入ってくる度に無理やり押し戻す。
それを繰り返す内に何度も舌の上で転がされた飴は、どんどん小さくなって溶けていった。
時折甘い唾液が喉を伝い咽せ返りそうになるが、それでも行為は飴が溶けるまで繰り返された。
息が続かなくなり、引き離そうとすると深く舌を絡められ、力が抜けてしまう。
酸欠で意識が朦朧としてきたところでようやくヴィンセントが飴をガリガリと噛む音がして唇を離された。
途端にブレイクが激しく咽せる。
その様子を楽しそうに見つめながらヴィンセントがニッコリと微笑んだ。
「…ね?美味しい飴でしょう?」
「………台無し、ですヨ…」
ムカムカと胸にこみ上げてくる不快感を堪えながら、きつく睨み付けたがヴィンセントにはやはり効果はないらしい。
「素直じゃないね…」
そう言ってクスクス笑うのが憎らしくてブレイクは顔を逸らした。
「そう言えば帽子屋さんって、息継ぎ下手だよね…教えてあげようか…」
「今スグオ帰リ下サイ」
「やだなぁ、もしかして怒った?」
「何を今更…ワタシは貴方が視界に入った瞬間から怒っていますヨ」
「フフフ…やっぱり帽子屋さんは面白いな。まぁいいや、可愛い帽子屋さんが見れたから、今日はもう帰るね…」

そして事は冒頭に戻る。
「ッ……ったく…気持ち悪い……」
ブレイクはもう一度口をゆすぐと口の端をグイッと乱暴に拭った。

喉の奥では甘い欠片が溶けずにまだ疼いている。















キスの後に嘔吐って、萌 え な い か…☆
私はゲロ萌えの人です^^((汚
あと息継ぎができない帽子屋さんって、いいよねー!
本当は漫画用の話だったのでなんか読みにくかったらすみませんです´`
我が家のヴィンスは夜這いが趣味みたいですね^p^
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木の葉も鳴らない静かな夜に

薔薇の庭でお茶会を開いた。

今夜は綺麗な三日月がでると思ったから
お客は、わがままな帽子屋さんが1人だけ。
招待状を手渡して、用意したケーキの名前を並べたら、嫌々ながら来てくれた。

目の前に積み上げられていく皿の枚数を数えながら、ふとその瞳に目を奪われる。
「ねぇ帽子屋さん…帽子屋さんの目、すごく綺麗だね…」
そういって手を伸ばして、怪訝そうな瞳にかかる白銀の髪を指ですくってみた。
途端に弾かれたように椅子ごと後ろに仰け反る様が面白くて、思わず笑ってしまう。
不機嫌そうに細められてもその紅さは色あせない。
「本当に綺麗…僕の右目と同じ色をしている筈なのに、どうして…?」
そう問えば意地悪な帽子屋さんは、くだらないですネェと呟いて、体制を整えるとまた1つケーキを頬張った。
「貴方がご自分で言った通りですヨ、ヴィンセント様。ワタシの目も貴方の右目も所詮は同じデス。」
言いながら、空になった皿をフォークで叩いてつまらなそうに紅茶を飲む。
僕は少し考えてから
「…それってもしかして…僕のこと、褒めてくれてるのかな…?」
と首を傾げて真面目に訊ねた。
予想外だったのかな…僕の返答に帽子屋さんの動きが一瞬固まる。
口にくわえていたフォークが落ちて、テーブルクロスの上でボトリと音を立てた。
帽子屋さんは何か言おうとしたみたいだったけど、諦めたみたいに首を振ると
「ホント…面白くないですネェ…」
と呟いて、紅茶用の角砂糖を2、3個口に放り込み、ボリボリと噛み砕きながら、呆れたようにこちらに目を向けた。

――帽子屋さんが僕のこと見てくれてる。

なんだか嬉しくなってまた笑えば、気色悪いと後退りされてしまった。
それでも逃げないでいてくれるから

大好きだよ…貴方は僕の帽子屋さん。



ジワジワと埋まる距離

それでも待つのは少し苦手だから

早く、早く、食べてしまおう。

熟れる前に、朽ちる前に。


――さぁ、緑の果実に口付けを。





















ちょっと息抜き。
じわじわっと変態で乙女なヴィンスが書きたかったんだ、よ…☆
 帽子屋さんは押しに弱いから、ちょっとずつヴィンスのことが気になり始めたり大嫌いだったり大嫌いなのに無理やりアッー!されたりすればいいと思いますハァハァあれ、私何言ってんの?^p^
よっしゃ、リクエスト消化するぞー!

そして全く本文と関係ないけど、帽子屋さんの手って柔らかそうだよねハァハァ!
すごく、ムラムラします^^^^

錆びた匂いがした。


嗅ぎ慣れたそれは普段明るい通りの薄暗い路地裏から生ゴミの匂いと一緒にツンと僕の鼻を掠めた。
暗がりに目を細めれば、そこには砂となって消えゆくチェインと…あぁ、暗くてよく見えない。
だけどこの力、僕はすぐに状況を把握した。
ヒュッと空を切る音が鳴り、その暗がりからゆらりと人影が立った。
耳を済ませば荒い息遣いが聞こえる。
声をかけようとして近寄ると、その人影はまたふらりと揺らいで今度は壁にもたれかかる。
小さく咳をするのが聞こえた。
僕のこと見えてるかな。
そんなことを考えながらゆっくりと声をかける。

「やぁ、帽子屋さん。お仕事ご苦労さま…」

小さく息を飲むような音が聞こえたけど返事はなくて、僕は仕方なく明かりを灯す。
「……あぁ、お疲れのようだね」
暗闇に浮かび上がった俯き気味の顔は蒼白で(といっても彼はいつも死人みたいな顔色だけど)、目を瞑ってひたすら吐き気を耐えてるみたいに見えた。
彼はまた咳をすると、ズルズルと壁伝いに座り込んだ。

…今日の僕はとてもついているみたい。

抱き上げても彼は小さく呻いただけだった。
思ってたよりもずっと軽くて僕は小さく笑った。
あぁ、なんだか本当にお人形みたいだ。
そういえば昨日、ちょうど一番可愛がっていた子が壊れてしまったんだった。
…そうだ、今日はできるだけ優しくしてあげよう。
今度はすぐに壊れないように。

「フフ、さぁ…お家に帰ろうか」

待たせてある馬車に向かって踏み出した一歩は夜の街に高く響いた。










(side:B)のヴィンセントがただの良い人みたいになったからムシャクシャしてやったら蛇足になってしまったかも^p^
あ、細かい設定とかはスルーですよっ☆←ダメ人間
…嗅ぎ慣れた匂いがする。

口内に広がるこれは……、あぁ、



「…ゴホッゴホッ、ぅ」

胸がひきつるような息苦しさにゆるゆると目を開ければ、そこは一面まばゆい金糸の園。
ワタシは瞬間、奇妙な錯覚を覚える。

…あぁ、違う。
やはりここは地獄だ。

「……おはよう、帽子屋さん…」
園が開けて、宝石のようなオッドアイがゆらりと細く輝いた。

「ヴィンセント、様…」

ホゥ。自然と息が漏れた。
…ワタシは一体何に安堵している?
重い思考回路をなんとか回す。

「良かった…偶然ね、通りかかったんだ。帽子屋さんがお仕事を終わったところに。…それで挨拶しようと思ったら、すごい顔色だったから…でも良かった、気が付いて」

「……それは、ドウモ」

ゆっくりと紡がれる言葉に半分夢見心地で相槌を打つ。
意識がまだはっきりとしない。
それにしても、ワタシもそう長くはないな…などと、またいらないことを再確認して、なんだか自嘲気味な笑いが込み上げてくる。
そんなワタシを不思議そうに見やるヴィンセントの視線が今はちっとも不快ではなかった。

「こういう時は…素直に良かったと思いますヨ…」
今のワタシを見ているのが貴方で、本当に良かった。
ヴィンセントはワタシの言葉の続きを待っていたようだけれど、残りの言葉は喉がひくついて上手く声にならなかった。
シャロンお嬢様や鴉にはできれば見られたくないし、レイムさんにも…、

「ッゲホゲホ、ゴホ…」
思考を遮る胸の痛みに思わず眉をひそめる。
自分の口から零れた紅にまたむせる。

気持ち悪い。

自分でもどんどん血の気が引いていくのがわかった。
意識の端でヴィンセントが、黙ってワタシの頭を撫でている。
その手を振り払うことはできなかった。

紅い、とめどなく溢れるそれは命の香り。


あぁ、ワタシが、錆びてゆく。














本当に大切な人たちの前では弱みは見せられない帽子屋さんとか。
心配させたくないから全部孤独の内に抱え込もうとする帽子屋さんとか!

ヴィンスが穏やか過ぎてもはや別人の件^^

(side:V)の続きですがもう別の話として読んでくださっておkですw
ろうそくの灯がちりりと揺れる。
外とは真逆のひんやりと暗い廊下をゆっくりと踏みしめながら歩くと絨毯が小さく鳴った。
確かここだったかな…。
小さく呟いてドアノブに手をかける。
鍵がかかっていたので仕方なくエコー直伝ピッキング。
ごめんね。でも鍵をかけてる君が悪いんだよ。
それからエコー、やっぱりあの子は有能だ。
ほどなくしてドアが開いた。
なるべく音を立てないように慎重に開ける。
部屋のすみのベッドの上にはシーツにくるまるシーツより白い頭髪。
「寝てるの…?」
そっと近付いてみるとくぐもった吐息と暑さのせいかほんのりと色付いた頬が可愛らしい。
近付いて触れようとした瞬間、真っ白なシーツは舞い上がり景色が逆さまになって腕にぴりぴりと痛みが走った。
僕と帽子屋さんは形勢逆転。
今度は僕がベッドに寝ることになった。
喉元にはどこに隠していたのか杖が突き付けられている。
苦しそうに息を乱しながら、でも殺気だけはいつもの数割増しだ。
それがなんだかひどく可愛らしくて、僕は猫にでも乗られているような心地になった。
「なんだ、起きてたの」
「貴方が、来るまでは、寝て、たんですけどネェ…ハァ。」
ぶつりぶつりと苦しそうに単語をひとつずつ区切りながら言って、最後に大きな溜め息ひとつ。
それでようやく落ち着いたらしい。
喉元の杖が少し震えている。
「別に脅かすつもりはなかったんだけどね」
「じゃあどんなおつもりで来たんデス?まさか寝込みを襲われるとは思いませんでシタヨ」
「やだなぁ、まだ襲ってないよ」
そこで帽子屋さんは少し疲れたみたいに溜め息をついた。
「で、一体何の用デスカ」
「今日はどこにもいなかったから心配してたんだよ」
「質問に答えなサイ…、ッ」
さっきまで凄んでいた帽子屋さんの顔が少し歪む。
僕の喉元の杖を退けるとその手でこめかみを押さえた。
「頭痛いの?」
腕の力も大分抜けていたので僕は手を払うと、帽子屋さんの額に手を当てた。
「わ、帽子屋さん熱あるよ」
僕が声を上げると、熱が上がったのかもう気力が残ってないのか、朦朧とした顔で自分からユルユルと僕の肩の方に倒れかかってくる。
「…暑さにやられましてね…さぁもう帰って頂けませんカ」
"貴方といると治るものも治らない"と言わんばかりだ。
それにしては肩にもたれたまま動こうとしない。
こんな帽子屋さんは初めてだったから僕は少し疑心暗鬼になる。
もしかして僕を誰かと間違えてる?
だったらすごくムカつくんだけど。
だけどこんなこと考えてもしょうがないってことはわかっていた。
「僕は素直な子が好きなんだけどなぁ」
そう言ってそのままギュッと抱き締めてみた。
抵抗されるかと思ったけれど、帽子屋さんは腕の中で完全に力が抜けたみたいだった。
本当に具合悪いのかも…僕はなんだか宝物を見つけたみたいな気持ちになって、クスクスと笑った。
帽子屋さんは本当に面白い。
少し重い溜め息みたいな吐息とくったりと身を預けるその軽さが愛しくて、僕は彼の唇に自分のそれをそっと重ねた。

彼は僕のこの密かな告白を多分覚えていないんだろうけど。













ピュアキモ系を目指しましたw
実はレイブレ前提だったりする。
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