忍者ブログ
[9]  [8]  [7]  [6]  [5]  [4]  [3
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

カチ、カチ、カチ、カチ、
規則正しい時計の音が響く午後。
「はァ~」
わざとらしい溜め息がその音を掻き消した。
紅茶を飲んでいたシャロンはふと顔をあげ、壁際にあるソファの方へと声をかけた。
「何ですか、そんな大きな溜め息をついて。」
「……疲れましタ」
「…今日も何かと忙しい1日でしたものね。」
そういって一つ息をついてから「貴方もこちらに来て一緒にお茶しましょう、ブレイク」と誘ってみる。
するとン~~とうなり声が聞こえそれが途切れたかと思ったら「…今日はいいデス」と予想外な返事が返ってきた。
いつもなら誘わなくとも来るのだが、今日は誘っても来ない。
「貴方がお茶を断るなんて珍しい…ちゃんとケーキも用意してありますのよ?」
もう一度誘ってみるが、今度は返事すらない。
「ザクス兄さん?もしかしてどこか具合でも悪いんですの?」
シャロンは紅茶を置くと、ソファの方に駆け寄った。
ソファを覗いて見ると猫のように丸まって寝ているブレイクの姿が目に入る。
珍しい…。
気付けばシャロンの右手はいつの間にかその頬に触れていて
なんて冷たい…。
「……ン」
「…あ、ごめんなさい。」
ブレイクが閉じていた目を眠そうに開けたので、シャロンはとっさに手を引き、起こしてしまったことを謝った。
「…イエ、ついつい寝てしまいましタ。ワタシもいい加減オジサンですからネ…」
としかし訳のわからないことを呟きながら、起きかけたブレイクは、またうとうとと目を閉じる。
「…ねぇシャロン、ワタシ本当は少し具合悪いデス」
「え?」
「だからまた昔みたいに子守歌を歌って下サイ」
――ワタシが昼寝を始めると歌ってくれていたでショウ?
ゆるりと開いた瞳の紅に思わずドキリとしてしまう。
上目遣いに見つめられ、シャロンは自分の頬が熱くなるのがわかった。
そこで耐えきれずに目をそらしながら小さく頷く。
「…1つ条件がありますわ」
「…んぅ、……何、デスカ?」
子守歌なんか必要ないでしょうに。
ブレイクの掠れた甘ったるい声を聞きながらシャロンは小さく笑った。
「子守歌を歌って欲しければ私のお膝にいらっしゃい」
そういってシャロンは自分もソファに座るとブレイクの髪を撫でた。
するとブレイクはくすぐったそうに身じろいでから、素直に、しかしのそのそとシャロンの膝に頭を乗せた。
「…ますますお母様に似てきましたね」
小さく笑うブレイクに、シャロンも微笑む。
「では、おやすみなさいザクス兄さん。せっかく歌って差し上げるんですからちゃんと聴いてて下さいね」
一応、そう言ってみる。
この人は多分1分と聴かずに寝てしまうだろうけれど。
「ハイハイ…ちゃんと聴いていますカラ…」
(お嬢様の歌だもの)
「では歌いますよ?」
(貴方の為に)

紡がれた歌は追憶の彼方へと流れてゆく。
それはやがて彼を優しい夢の世界へと導いていった。

遠い、遠い、あの頃の夢へ――。
















原作のシャロンちゃんとブレイクのラブラブ具合がたまりません…!
二人の真ん中で深呼吸したい・・・!^^^^^
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
<< 陽炎 HOME 時の足音 >>
プロフィール
HN:
甘夏
メールフォームは新居のaboutに移動しました^^
カウンターも新居のindexに移しました^^
書庫一覧もmainの方に移しました。
最新コメント
[06/27 甘夏]
[06/22 ななみ]
[10/25 甘夏]
[10/23 peche]
[10/18 甘夏]
バーコード
ブログ内検索
最古記事
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
忍者ブログ [PR]